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僕らの時間【気象系BL小説】

第8章 素晴らしき世界 M×N



目を閉じ、額にゴムボールをあてるニノ。

何か…念じてる?

その光景を不思議に思いながら見ていると

「潤くん…」

目を開けたニノが俺の名前を呼んだ。

「俺を…」

憂いを帯びた目で見つめられて,胸がドキドキして煩くなる。

「和也を…」

俺はゴクンと唾を飲み込み、次の言葉を待った。

「和也を、甲子園に連れてって」

それって…

夏休みになるとよく再放送されていた、高校野球アニメのセリフっぽくないか…?

「お、おう」

ちょっとビックリして…
今まで生きてきた中で、一番マヌケな返事になってしまったかもしれない。


次第にニノの口元が緩んでいく。

「な、何だよ」

「やっぱりさ、潤くんていいよね」

「どこが?」

「だからっ、察しろや」

照れながら、俺にヒョイッと投げられたゴムボール。

「ニノの気持ち、受けとめたから」

俺は、ニノとゴムボールと自分自身に呟いた。


「ニノも今、テスト期間なの?」

「そうですよ。だけどここに来るのが日課になってますからね」

「そっか。俺、そろそろ帰らないと」

「じゃあ、行きますかね」

「ニノ…」

「ん?」

俺はニノの白くて柔らかそうなほっぺたに、ちゅっ。とキスをした。

「な、な、な、な…何やって…」

「じゃあ、またな〜」


俺にとって、いつの間にか大きな存在になっていたニノ。

共に歩んで行こうな。

イチ!ニィ〜サン!シィ〜!
ゴ〜ロク!シチ!ハチ!

今日も届きますように。





END

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