第5章 STAY GOLD M×S
「マツジュン、改まって…どうした?」
「俺が言ってる好きって言う意味…わかるよね?」
「う、うん…わかってる」
「俺、ちゃんと両親に話をする。会社がライバルでも、サクショウとは仲良しでいたいって、認めてもらうから」
サクショウは俺の話をじっと聞いてくれてる。
「それで…両親と仲直りできたらさ…」
「仲直りできたら?」
「あの日は握手しかできなかったけど…サクショウにキスしてもいい?」
「えっ…」
「その時さ、もしイヤじゃなかったら…目、閉じて欲しいんだ」
キョトンとするサクショウが可愛くて、今すぐにでもガバッといきたくなったけど、そこは我慢した。
いつもの馴染みのカラオケ店。
お互いにジュースを飲む音だけが聞こえる。
いや、ドキドキバクバクと高鳴る心臓の音も聞こえているかもしれない。
サクショウは落ち着かなそうに、手の指を動かしている。
俺だって緊張で足が震えているんだ。
「家族にさ、サクショウと仲良くすること認めてもらえたから」
サクショウはチラッと俺を見た。
「だけどそれは、サクショウのご両親がウチの親に話してくれたからなんだ」
「ウチの親が?」
「うん。あの後ね、連絡をとってくれたみたいで。ウチの親がね、翔君にもよろしくって」
「そっか…それなら良かった」
ホッとしたのか、表情が和らいだサクショウ。
俺はその手にそっと触れた。
「…ってことで」
「あ、そっか…」
真っ赤になっているサクショウが目を閉じた。
俺はサクショウの…柔らかい頬にキスをした。
「マツ、ジュン?」
サクショウが不思議そうな表情で俺を見る。
「唇にして欲しかったの?」
「えっ…だ、だって目を閉じてなんて言うから…」
「じゃあ、やり直しする?」
「しません。そう簡単にはさせません」
唇へのキスは、もっと自分に自信がついたら…その時こそは…。
小さな頃からライバルだと言われていたキミと、これからも切磋琢磨しながら生きていきたいと強く思った。
「そろそろ名前の呼び方、変えようか…翔」
「あっはい…潤」
END