• テキストサイズ

rain of teardrop【黒バス/ジャバ】

第35章 the price of choice




『そういや、忘れてねえよな?』

『、……なにを…?』

『~~……アレだよアレ。…また作るっつっただろうが』

『!あ……ああ、……』


時計なんて目もくれない。
シャワーを終えると、シルバーは名無しの背後に立ち、口約どおりドライヤーを彼女の髪にあてていた。
本濡れしていたわけではなかったゆえ、数分も温風をあてていればすぐに乾き、癖もとれるだろう。
とはいえその所作はシルバーがやりたかったもののようであり、相も変わらず見た目とは裏腹、彼は名無しの髪にとても丁寧に触れた。

名無しは、ホテルの部屋のドレッサーがわりとなっていた机に座り、黙ってシルバーの厚意を受ける。

やがて出かける準備も終えれば、二人そろってロビーまで降り、外へと食事に出かけた。


『そんなに気に入って…くれてたの…?』

『――食いてえんだよ…そろそろ。今度オレの部屋に来るときに持ってこい……わかったな?』

『っ……うん…』


シルバーは出先で携帯の電源を再び切っていたようで、ホテルの部屋に戻るまで、それを一度もみることはなかった。
まあ殆どの時間、服のポケットに両手を突っ込んでいた所為もあるだろう。
自分が前を、名無しを後ろに歩かせていたのは、名無しはちゃんと後ろをついてきていると、シルバーが信じていたからだった。


/ 428ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp