rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第34章 wrong step on the stairs8
「ん……はァ…」
「チュ…、ちゅ……舌出せ…」
「!はぅ……んん…っ、ン…ふ、ぁ……――」
「……好きだぜ、名無し…――」
「ッ……」
改めて気持ちを自覚した瞬間に訪れたのは、胸の高鳴りに混ざるざわつきだった。
名無しは一瞬、その身を震わせた。
惚れて、惚れられる――。
名無しがこの場で認めたその気持ちは、同時に、何度も何度も第三者によって言及されてきたものでもあった。
なにも知らない人間が知ったような口を訊いてきて、勝ち誇ったように事実だと言い切られてきたそれ。
その第三者の……ナッシュの言葉は認めたくなかったし、言い切られることも率直に不快でしかなかったものだ。
「……っ」
が、結局は事実以外の何ものでもなかった。
どうして見透かされているかを考えたとき、こたえは怖くて絞れたものじゃない。
誰よりも彼がシルバーを見、そして関わりうる中で自分を見ていたから……なんて、ナッシュの手のひらでまわる駒のようで悔しかった。
互いを本気で……。