rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第34章 wrong step on the stairs8
――。
―――。
「………」
数時間後。
ホテルの部屋に常設されていた、加湿器の僅かな稼働音が初めて気になった。
それは名無しがシルバーに抱かれ、体力を奪われて休んでいたところ、睡眠欲が満たされたために反応していたのが原因だ。
「……あの…」
「、ああ……起こしたか?電源入れたらまあ~~通知がよ……めんどくせえな全く」
「ん……、ずっと……携帯触ってるなと思って…」
「!なんだ……眠ってなかったのかよ。ぐったりしてたじゃねえか……腰の振りすぎで?ハハッ」
「っ……それは…、んんっ」
もともと連泊らしかったゆえ、チェックアウトも翌日のこと。
時間を気にする必要はまだなかった。
けれどそれとは関係なく、目が覚めても、じゃあむくりと起き上がろう……そうならない理由は言わずもがな。
そうなれない、と言った方が正しいかもしれない……。
満たされた気持ちがある罪悪感に並んで漂う気怠さ。
もう眠いとは思わないのに、このまま眠り続けていたかったと頭の片隅で考える。
早い話が、何も考えたくなかったということだ。