rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第34章 wrong step on the stairs8
―――。
――。
「は……んん…」
「ん…おいおい……そんな締めんなよ…」
「、……」
「……んな必死になんねえでも、何処にも行かねえつってるだろ…今日はよ」
「っ……電話…」
「ああ……鳴ってたな、ずっと。うぜえからもう切ったっての……あとで怒鳴られちまうな…ハッ」
今まで何度も何度も、何度も……頭の中の螺子を数え直して来た。
もとの本数がいくらかなんて分かりもしないけれど、たとえば決まった本数から一本抜け落ちて、おかしくなっていることだけは分かる。
すべては度々、自身の経験から理解出来ていたことだ。
そして今もまた例外ではなかったということ。
再び、ついに行き着くところまで行ってしまった、とでも言えばいいのだろうか。
狂ったのち、恨み嫌っていた男を呼び止め、傍にいて欲しいなどと、どの口が紡いだものか――。
「!!ん……」
「はぁ……気持ち好いか?」
「…っ……ん…」
「ッ……あのなァ……なんでおまえは…あー……チッ」
「……え…?あ…!」
「今度はおまえが動けや……下から舐めてやるからよ…、好きだよなァ?」
「待って……まだきつくて…ッ、ふ…ひぁ……」
「キツかねえよ……ほーら…クチュクチュ聞こえるぜ……ん」
「――ッ……」
シャワーの音がザーザーと耳障りに響いて、それでもその音が現実逃避させてくれたから、逆に心地よささえ感じられた。
自分からキスをして、腕を回して、求めたこと……。
朝が来て、シャワーが終わったら今日はもう終わり……なんて、いまの名無しにはどうしても受け入れられなかった。