rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第20章 in the maze
「んっ……ハァ…なんだ……自分で動くのか?んな腰振って……、突いてやろうと思ったのによ……」
「ッ……や…、い……だめ…」
「ダメ?はっ……ウソつけ…ほーら……どっちだ?」
「――ふ、…ぁ……」
繋がって、ひとつになって、とうとう自分の上で乱れる名無しの姿を目の前に、綻んだ口元はゆるむばかり。
そんなシルバーはふと、彼女の声色の変化に気付くと、それを聞き逃さなかった。
甘い誘惑を持ちかけ囁いたその瞬間、胸が高鳴る様子を名無しは見せ、唾を飲み込む音も聞かれている。
シルバーの両腕にきつくホールドされると、彼は自分の屈強な下肢により力を加えて、構えを示した。
名無しの持っていた不安に覆い被さってきたのは、根拠も何もない…けれど何処か確信さえ持ってしまう、期待の二文字だった。
「名無しー?」
「ッ…、突…いて……?おく……!!あ……」
名無しが恐れていたのは例に漏れることなく、折角与えられたシルバーの陽物が自分の中から出て行くこと。
意地悪のひとつとして、簡単に成す可能性が彼にはまだまだあった。
だから、手に入れた快楽を逃すまいと、絶頂を味わうために自ら乱れ、腰を振る。
耳を疑ったのも当然だろう。
こんな男なのだから……。
が、何をどうしても、結局名無しの欲しいものは決まっていたし、それが変わることもなかった。
悪逆とした思わぬ誘惑声に足を掬われ、零してしまったのは本音も本音――。
その日、名無しの声が一番甲高く上がったのが、おそらくはこの瞬間のことだった。