rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第20章 in the maze
「…んん……あ…」
「フッ……好い声になってきたな」
「あ…ァ……」
ベッドがぎしぎしと、激しさを物語るときとはまた違った音を上げている。
変わらず圧し掛かるシルバーは、名無しを執拗に撫で回し、背を愛でていた舌を離し耳元へと向け、その唇で低く囁く。
今の愛撫に込めた意味を、彼女自身に分からせようとしていた。
「や、…んぁ…、……」
シルバーはいつだって猛々しく名無しを抱き、体力の尽きるまでベッドを揺らしてきた。
悲鳴と変わらない嬌声は、必ず喉も枯れさせながら……。
が、いま彼女が漏らしていた声はか細く、しっとりとした甘美なものだった。
震える全身にも違和感を持つ。
腰がひくついて暫く、そこで陰部に食い込むよう下着に指を引っかけられたとき、名無しはシルバーの意図になんとなく気付いた。
「…ん……ッ」
いつものシルバーなら、なりふり構わず抱く筈だ。
気付いてしまったのは、彼が珍しく自分を焦らしていること。
嫉妬に駆られ、むらついていた名無しの身体になされるには、とても辛い現実だった。