rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第18章 teardrop after Ⅶ
「・・・んっ」
「チュ――・・・、ンッ・・・、・・――ッ」
シルバーはもう、ただ彼女を抱くことでうやむやにしたくなかった。
一番のお気に入りの女という存在よりも上の価値を、名無しに求めてしまっていたから・・・。
誰にも触れさせたくない、抱かせたくない。
大いにエゴだ。
けれど、そのエゴを貫いてこそ自分らしいと彼は思った。
そして貫き通せると思ったのは、名無しが既に、自身に落ちていたからだ――。
「おまえ――・・・ハッ・・、自分が今何したか分かってんのか?」
「・・・ッ・・、―――あの・・・」
赤い花弁ひとつで中断しないで欲しい。
他の男では濡れなかったことを試した代償程度の、微々たるものとして今は思ってもう忘れて欲しい。
こんな痕、どうせ時間が経てば消えるのだから・・・。
名無しは、もうこれ以上言葉で話せない気持ちを、想いをすべて、自ら顔を上げることで示した。
意地悪く煽られていたシルバーに自分から向かってゆくなど、絶対に起こり得ないものだと信じてきたことを自ら打ち破る。
厚い唇に触れ、すっと伸ばした舌を積極的に絡め合わせながら、やがて離れても二人を繋いでいたのは唾液でできた糸。
結局、キスだけでは足りないと感じ、喉を揺らして紡いだ言葉もあったけれど、そこには恥じらいを含んだか細い音が少し奏でられただけだった。
が、名無しから交わされたキスと、ほんの少しの音に乗った想いは、シルバーの目と耳がしかと認識していた。
恥じらう姿のどんなに愛しいと思ったことか――。
どんなに自分で汚したいと感じたことか――。