rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第15章 teardrop after Ⅳ
長い時間躾けられ続けてきた所為か、頭も身体も、元あった螺子が数本吹っ飛んでしまった気がする。
内気でいた筈の性格が崩れ、もうどうにでもなれと思ってやさぐれたくなるのも、刷り込まれた傷の深さと大きさがひどく影響しているのであろう。
「・・・・」
家に帰ってからも消えなかった身体の内側の熱。
溺れ沈んだ沼の底から、手を取りたくない男のそれに腕を伸ばさなければ、ベッドから起き上がることもできなかった。
手首に残る縛られた痕に触れれば、腫れによるむず痒さが迸る。
心の奥に連動するかのような苦い痛みとともに、甘い熱は名無しを容赦なく襲っていた。
「はぁ・・、・・――・・・ふ・・っ」
ため息を零しながら飛び込んだ自分の部屋、馴染みの匂いのするベッド。
もういっそ、いよいよ枯らしきりたい。
そう思わせるほどに、彼女の目からはただひたすら、まだまだ涙が溢れていた。