第13章 嵐の文化祭 その6
「・・・っ・・・でもっ・・・」
「でも?」
顔を上げて、まだ潤んだヒカリの瞳が俺を見上げてくる。
「なんか・・・す、すごく・・・き、気持ちよかった・・・です・・・」
「・・・っ」
・・・ほんっとこいつは・・・唐突にとんでもないものをぶち込んでくる。
「・・・・・・この続きはお前がしたくなったらしてやるよ・・・!」
「ふわぁ!」
だがもうこいつに理性を壊されるわけにはいかない。俺はいつもの雰囲気に戻すように、ヒカリの頭をぐしゃぐしゃっと乱暴に撫でた。
「・・・ひでえ頭」
「も、もう!宗介さんがやったんでしょ?!・・・・・・あ、あの、でも・・・」
これでいつもの調子かと思ったら、またヒカリが少し真剣な表情になる。
「なんだ?」
「い、今宗介さんが言ったことって・・・・・・えっと、つまり・・・あのっ!わ、私の方から誘え、ってことでしょうか?」
・・・そういうつもりで言ったんじゃないんだが、こいつには微妙なニュアンスは全く伝わらなかったようだった。
・・・まあでもそっちの方が面白いか。
笑いを噛み殺しながら、俺はヒカリに言う。
「・・・ああ、そういうことだ」
「ええぇっ?!あ、あの・・・ちょっと私にはハードルが高いんですが・・・・・・」
「お前ならできるだろ?・・・まあ、楽しみにしてるわ」
「えぇ?!・・・あー・・・う・・・は、はい!が、頑張ります!!」
なぜかガッツポーズになるヒカリ。
・・・何、気合い入れてんだ、こいつは。ほんっとにこいつは、いちいち言動が面白い。
今度も多分気長に待たなきゃなんねえだろうな、と思いながら、俺は少し笑ってヒカリの前髪に唇を落とした。
「っ・・・!!!」
ヒカリの頬がまた真っ赤になって、俺もまた笑った。