第13章 嵐の文化祭 その6
夜風が冷たい中、ヒカリと手を繋いで、ヒカリの家へと向かう。
「そういやお前、差し入れ持ってきたとか言ってたけど、何作ってくれたんだ?」
「あ、カツサンドです。えっと、これぐらいの大きさのをこれぐらい・・・」
ヒカリがジェスチャーで示したそれは、俺が知ってるカツサンドの数倍はあり、量もとても一人分には思えなかった。
「・・・いや、お前基準で作るなよ。何人分だよ、それ」
「いえ、働いたらお腹空くかなーって・・・あ、でも・・・今からでも渡したいのは山々なんですが・・・さっき、やけ食いで全部食べてしまい・・・」
申し訳なさそうにそう言いながら、ヒカリは微かに頬を染めた。
「っは!・・・そうか。まあ、でもありがとな」
「は、はい!あのっ、また作ります!今度はもっとたくさん!」
「いや・・・さすがに食い切れねえから」
他愛もない会話ばかりだったが、またヒカリとこんな風に一緒に歩けることが嬉しかった。
「かなり遅くなっちまったけど、親大丈夫か?」
ヒカリの家の前に着いて、時間を確認する。元々俺がここに着いたのが遅かったのもあるが、普段よりもずっと遅い時間になってしまっていた。
「もしまずかったら、俺、挨拶して謝るけど・・・」
「だ、大丈夫です!そ、そこまでしてもらわなくても・・・うち、あまり細かいこと気にしないので!」
いや、細かくはねえだろ、一人娘がこんな時間までどっか行ってたら、心配するだろ、と思ったが、今はヒカリの言葉を信じておくことにした。
「・・・わかった。まあ、何か言われたらすぐ言えよ」
「は、はい!」