第12章 嵐の文化祭 その5
「・・・・・・でも」
「・・・でも?」
ふーっと大きく息を吐く。こんなこと認めたくない。絶対に認めたくないことだけど・・・
「・・・宗介さんが、すごくつらい時に・・・あの人とのことが少しでも救いになったのなら・・・・・・それもよかったのかな、って・・・・・・」
「ヒカリ・・・・・・」
宗介さんが驚いた顔で私の方を見た。認めたくないけれど、宗介さんが一番つらかった時に側にいたのはあの人だ。宗介さんもさっき、『その時だけは少し辛さを忘れられる気がした』って言ってた。
だけど・・・だけど・・・・・・
「・・・なーーーーーんて!!!心から素直に思えるわけないじゃないですか!!!だって!!なんで私じゃなかったの?!私がいたかった!!宗介さんが一番つらい時に、側にいるのは私がよかった!!!」
あの人がいてくれてよかった、なんて素直に思えるわけない!私はそんなにいい子じゃない!思いがぶわっと一気に溢れ出た。
「・・・・・・いや、高校東京だったし・・・そもそもお前、その時まだ中坊だから無理だろ・・・」
宗介さんは私がぶちまけ出してから、ずっとぽかんとした顔で私の顔を見ている。
そして、なんだか冷静につっこみを入れてきた。
「もう!!いいから最後まで聞いて!!宗介さんの天然!!!」
「・・・て、てんねん?」
本当にこの人、たまにものすごく天然だ。誕生日の時もそう思ったけど!!
「・・・それにっ!!あの人、すっごい綺麗で大人っぽかったし!それに比べて私はこんなだし、子供っぽいし!!あの人、背だって高かったから、キスしやすかったんでしょ?!」
「・・・・・・」
「ふんだ!どうせ私はちんちくりんですよ!!腰痛いとか言われちゃうし!わ、私だってキスする時いっつも首痛いし、足だってつりそうになるし大変なんだから!!」
「・・・・・・」
「そもそも宗介さんがおっきすぎるのがいけないんでしょ?!宗介さんのばーかばーーかばーーーか!!!」
「・・・・・・」
「っはぁ・・・はぁ・・・」
息継ぎもほとんどしないで一気にまくしたててしまった。呼吸が整わない。