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いちご☆恋模様 PART2

第8章 嵐の文化祭 その1


「・・・う、上着は着ないんですか?」
「ああ・・・着てみたけど、サイズがなんか合わなかったんだよな。きつくてよ。まあ俺、接客しねえしいいだろ」
「そ、そうですね・・・」


この格好もやばいけれど、上着まで着て完璧な執事姿だったら、私は見た瞬間に倒れていたかもしれない。


「そ、宗介さん、お料理できるんですね・・・」
「まあ一応な」
「へ、へぇ〜・・・」


この姿でフライパンを振ったりするんだろうか。想像しただけで、もう・・・もう・・・


「やっぱお前、おかしいぞ。どうした?」
「ぅひゃああ!!」


急に宗介さんが屈んで顔を近付けてきたので、私は思わず悲鳴を上げてしまった。


「っな!・・・お前、急にでけえ声出すなよ」
「だ、だって・・・」


どうしよう、どうしよう、もう顔が真っ赤になりすぎててこんな顔宗介さんに見せられない・・・


「はぁ〜・・・・・・・・・どうかされましたか?お嬢様」
「っっ!!!」


大きくため息をついたと思ったら、宗介さんはまた私に顔を近付けてきた。そして、低く甘い声で私の耳元でささやく。


「・・・お身体の具合でも優れないんですか?お嬢様」
「っっっ!!!」


宗介さんの吐息が耳にかかる。ずるい。なんでこんな時だけ宗介さん、ノリノリなの?
・・・もうダメ。もう限界。


「あああ、あのっ!!私!そ、宗介さんがかっこよすぎて!!いっぱいいっぱいなんです!!見れないんです!!・・・だからもう、か、勘弁して下さい!心臓飛び出しちゃいます!!!」


限界を迎えた私は、心の内を一気にぶちまけた。ああ、もう顔も真っ赤だし、それに、それに・・・


「・・・っは!はははは!・・・そうか、そりゃあ心臓飛び出ちまったら大変だな・・・ははっ!お前、耳まで真っ赤だぞ・・・っはは!ホント、お前、面白えな」


こんなこと言ったら、宗介さんきっと大笑いだ。そして、その私の予想を裏切ることなく宗介さんは、本当に楽しそうに笑い出した。その笑顔に、限界まで来ている私の胸がまた高鳴った。




「・・・まあいっぱいいっぱいなのはわかったけどよ。俺、もうそろそろ戻っちまうぞ・・・いいのか?」


ひとしきり笑った後、宗介さんは少し意地悪そうな顔をして言う。私の気持ちなんてわかりきってるくせに、なんでこの人はこんなに意地悪なんだろう。
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