第8章 嵐の文化祭 その1
「お、ヒカリじゃねえか。早いな」
「あ、凛さん、おはようございます!」
似鳥さんと話をしていると、奥から凛さんがやってきた。
「・・・」
「・・・なんだよ」
「い、いえ!とってもよく似合ってるので・・・凛さんならメイド姿も似合いそうですね」
「ああ、そういえば長島さんは見てないんですね。去年の凛先輩のメイ「愛!!・・・もうその話はすんな・・・」
凛さんの執事姿はとても素敵で、一瞬見惚れてしまった。メイド姿もとても似合いそうだなと思ったけれど、どうやらこの話は凛さんにはタブーのようだ。
「あ!凛さん。あのですね、えっと・・・」
「ああ、宗介だろ。待ってろ、今呼んできてやる」
もじもじしていると、凛さんがすぐにわかってくれて、奥へと消えていった。
・・・こういうの、嬉しいけどなんだか恥ずかしいなあ・・・
「宗介先輩、今日は調理担当なんですよ」
「へぇ〜!そうなんですか」
そこまで詳しくは聞いてなかったから、似鳥さんの言葉に少し驚く。宗介さん、料理できるんだ・・・でも宗介さんがにこやかに接客してるところなんて想像できないし・・・
そんなことを思っていると・・・
「・・・おう、お待たせ、ヒカリ。てか、お前はえーな」
いつの間にか目の前に宗介さんがいた。その姿を見た途端、思わず私は意識を失ってしまいそうになったのだった。
「・・・おい、ヒカリ。お前、なんでさっきから目そらしてんだよ」
「い、いえ、あの・・・し、刺激が・・・」
「はぁ?!」
今私達は教室から出て、人通りのある廊下からは少し引っ込んだところで話をしていた。
・・・宗介さんの執事姿。凛さんのように上着も着ていないし、シャツのボタンも外してだいぶ着崩しているけれど・・・ものすごくものすごくものすごくかっこいい。ごめんなさい、もうこれしか言えない。
そして、そんなかっこいい宗介さんのことを、私はさっきからまともに直視できていない。