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いちご☆恋模様 PART2

第8章 嵐の文化祭 その1


「ちょっと早すぎたかなあ・・・」

鮫柄学園の構内、校舎へと続く道を歩きながら、私は呟いた。

今日はいよいよ、鮫柄の文化祭の日だ。私が歩いている道の脇にもたくさんの模擬店が並んでいて、開店の準備を始めていた。

さすがにまだお客さんはほとんど来ていない。だけど、どうしても楽しみすぎて先輩達よりも先に来てしまったのだった。
それに・・・本格的にお客さんが来る時間になると、宗介さんが忙しくて会えなくなってしまうかもしれない。交代制だとは思うけど、それでも少しでも早く宗介さんに会いたかった。




弾む足取りで校舎に入って、宗介さんに教えてもらっていた教室を目指す。


「・・・ここ、でいいのかなあ・・・」


その教室には『地獄の冥土喫茶』という看板が出ていて、一瞬戸惑ってしまう。
・・・地獄?冥土?などと思っていると、扉の代わりに張り巡らされた黒いカーテンの向こうから誰かが出てきた。


「あ〜あ・・・」

「・・・え?!も、百太郎くん?!」


メイドさんの格好をして、ため息混じりに出てきたのは、百太郎くんだった。


「へ?ヒカリちゃん?!・・・わああ!こんな俺を見ないで!!」

「あ、ま、待って!」


百太郎くんはすぐに教室の中へと引き返してしまった。
 
百太郎くんのメイド姿・・・ほんの少ししか見えなかったけど、結構可愛かった気がする。
・・・よし、もう一回見せてもらおう。そう思って、カーテンの隙間から少し顔を出した。


「失礼しまーす。おはようございます・・・」
「あ!長島さんじゃないですか。おはようございます」
「・・・!」

すぐ目の前にいたのは、百太郎くんと同じくメイド姿の似鳥さんだった。そのあまりの似合いっぷりに思わず息を呑んでしまう。


「ずいぶん早いんですね・・・あ、宗介先輩なら・・・」
「す、すごい可愛いです、似鳥さん!・・・本当の女の子みたい・・・」
「あ、あはは・・・ありがとうございます。あんまり嬉しくないですけど・・・」


メイド姿の似鳥さんは、まるで本の中から出てきたみたいに自然で、とてもよく似合っていた。ウエストとかもすごく細くて本当に女の子のようだった。
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