第7章 『会いたい』
「はぁ・・・・・・」
電車から降りて、私は大きく息をついた。あの後も色々宗介さんについて聞かれたりして、ずっと頬が熱いままだった。
先輩方とわかれてやっと最寄り駅に着くことができて、少しホッとする。楽しかったけれど、とっても恥ずかしい時間だった。
もう10月。日が落ちるのも早くて、改札を出れば肌寒いぐらいだったけど、ほてった頬を冷ますにはちょうどよかった。
お母さん達もう帰ってきてるかなあ、なんて思いながら私が家に向かって歩き出そうとした時だった。
「ヒカリ・・・やっと来た」
絶対にここで聞こえてくるはずのない声が聞こえてきて、私は飛び上がるほどびっくりした。
「ひゃああっ!・・・へ?そ、宗介さん?!」
駅を出てすぐのところに宗介さんが制服姿で立っていた。
「お前、学校かと思ったけどいねえし。電話したけど全然つながらねえから、仕方ねえからここで待ってた」
「あ、すいません。怜先輩の家にみんなでお邪魔してたので、電源切ったままでした・・・って、そうじゃなくって!な、なんで?!」
そう。思わず普通に答えてしまったけれど、なんで宗介さんがここにいるんだろう。文化祭の準備で忙しいって言ってたのに。
「・・・なんで、ってお前さっき『会いたい』って言ったじゃねえか」
「へ?」
「・・・お前が『会いたい』って言ったら、会いに行ってやるって約束しただろ」
・・・した。確かにした。地方大会の日、宗介さんが好きって言ってくれた後に、そう約束したんだった。でも・・・
「で、でも・・・まさかホントに・・・」
「・・・お前は俺を嘘つきにしてえのか」
「そ、そうじゃなくって・・・え、えっと・・・」
「なんだよ・・・せっかく抜けてきたってのに、あんま嬉しそうじゃねえな」
突然のことに頭が追いつかない。でも、宗介さんが不機嫌そうな声でそっぽを向いてしまったことで、やっと思考が追い付いてきた。