第7章 『会いたい』
「え・・・いえ、あの・・・そ、宗介さんは・・・や、優しいです!!とっても!!」
どうやっても逃げられなさそうなので、私は一言だけ答えることにした。でもそれすら、恥ずかしすぎて声が上ずってしまった。
「「「どんな風に?」」」
息もピッタリにさらにつっこんで聞いてくる先輩達。
何か・・・何か当たり障りのないことを言って、早くこの話題を終わらせよう。
「え、え〜っと・・・そ、宗介さんは、歩く時はいつも私に合わせてゆっくり歩いてくれます・・・手も、いつも繋いでくれて・・・」
・・・いつも手を繋いでる、なんて余計なことを言ってしまった。
・・・ダメだ!これは恥ずかしすぎる。何か他のこと、他のこと・・・
「あ、あとは・・・一緒にご飯食べに行って、私がたっくさん食べてても、笑って見ててくれます・・・」
・・・待って!これただ単に私が食いしん坊なだけのエピソードだ!他、他は・・・
「あ、あの!宗介さんってなんかいつも私のことをからかってくるんです。で、でも、それで私が怒ると『わるいわるい』ってかんじに優しく頭を撫でてくれるんです・・・それが嬉しくて、私は結局宗介さんを許してしまい・・・」
・・・待って、待って!これはもう宗介さんが優しいのか意地悪なのかよくわからないエピソードだし、とにかくもう自分が何を言ってるのかわからない!!
「え、えっとまあ・・・そんな感じです・・・」
・・・もうやだ。この場から消えてしまいたい。恥ずかしすぎて顔も真っ赤だろうし・・・
と言うか、先輩方、黙ってないで何か言ってほしい!!
「・・・・・・なんか」
やっと渚先輩が口を開いてくれた。
「盛大なノロケを聞かされた気がする」
「えええぇぇぇ?!そ、そんなつもりは・・・」
「そうですね、山崎さんを見る目が変わりました。そんな方だったんですね・・・」
「・・・うん。とりあえず宗介くんが、ヒカリちゃんに甘々でメロメロなのがよくわかった」
「ち、ち、違いますーーーー!!!」
熱が出たみたいに顔中が真っ赤になって、よそのお家だというのに、思わず私は大きな声で叫んでしまった。