第4章 ジンベエザメの試練 ふたたび
「たくさんあるので、食べて下さいね」
やっと目当てのDVDを見つけてセットすると、ヒカリは俺のすぐ隣に腰掛けた。正直そらし続けて首が痛くなってきてたからホッとした。
「じゃあ、もらう・・・・・・・・・あ、うまいな、これ」
色々種類があるようだったが、とりあえず一番シンプルっぽいやつを手に取り、頬張る。
「よかったぁ!色々種類作ったので、他のもどうぞ」
そう言いながらヒカリは自分でもチョコチップが入ったものを取ると、両手で持ってもぐもぐと食い始めた。その姿はまるで・・・
「・・・ぶはっ!」
「へ?どうかしましたか?」
「・・・お前の食い方、ハムスターとかリスみてえ・・・ははっ」
ヒカリが食ってる姿は、小動物が食い物を両手に持って必死にかじっている姿によく似ていて思わず噴き出してしまった。
「わ、私、あんなにほっぺたふくらみませんよ、もう・・・」
「いや、お前怒ってる時、よくふくらんでるぞ。ここ」
少し的外れなことをヒカリが言ってきたが、それもおかしくて、俺はヒカリの頬をつんとつついてやった。
「んっ!・・・も、もう!それは宗介さんが私のことをからかうからでしょ?!」
「あとお前、動物で言うとあれだな・・・キャンキャンうるせえ小型犬」
「キャンキャンうるさいは余計です!・・・もう」
とか言ってるヒカリの頬は、まるで小動物が食い物を貯めこんでるかのようにふくらんできたわけだが、ここで映画の方が始まった。
「ははっ・・・ほら、始まったから観るぞ」
「・・・はい」
ヒカリはまだ少し不満気な声を出していたが、俺の言葉には素直に頷いた。
・・・大丈夫だ。このままただ映画を観て、観終わったらさっさと帰ればいいだけなんだから。
・・・きっとそうだ。