第26章 ふたりの、初めて。 その3
「・・・泣いてたらわかんねえだろ。どうした?」
宗介さんが私のすぐ近くに来たのが気配でわかった。
「・・・ひっく・・・なんで・・・イヤなのにうち、来たの?!・・・宗介さんのばかぁ・・・」
「・・・」
「・・・イヤなら来なきゃよかったのに!!・・・っく・・・もうやだぁ・・・」
こんな風に泣いてたら宗介さんを困らせるのはわかってる。でももう限界で、私は子供みたいに泣きじゃくってしまった。
「・・・・っく・・・ひっく・・・宗介さんのばか・・・うぅ・・・」
「・・・・・・」
宗介さんは何も言わない。部屋の中には私のしゃくりあげる声だけが響いている。
・・・もう『続き』どころじゃない。こんなに泣いちゃって、宗介さんだって呆れちゃったと思う。だけど私だって、もう我慢できなかった。ため息が出るくらいイヤなら、最初から断ってくれればよかったのに。
「・・・っく・・・・・・ん・・・」
「・・・・・・ヒカリ」
宗介さんの手が私の頭に触れた。いつもは大好きな宗介さんの手なのに、今はそれがつらい。優しくなんてしないでほしい。
「・・・・・・お前、なんか勘違いしてるみたいだけど・・・俺は嫌だなんて思ってねえよ」
「・・・っ・・・嘘です!そんなの」
「嘘じゃねえよ!」
私の言葉を遮るように宗介さんが大きな声で言った。びっくりして顔を上げると、そこには宗介さんの真剣な瞳があった。
「・・・・・・俺は・・・嬉しかった。ヒカリが今日・・・うちに来いって言ってくれて・・・」
「っ・・・ホント?」
「・・・こんなことで嘘ついてどうすんだよ」
宗介さんとつきあい始めてまだ4ヶ月くらい、短い時間しか一緒にいないけれど、今の宗介さんは嘘をついていないってはっきりとわかった。宗介さんの目を見ればちゃんとわかる。それに・・・そうだ、宗介さんはこんなことで嘘をつくような人じゃない。
でも・・・
「だったら・・・!だったら、なんでため息ばっかりついてるんですか?」
・・・そう。私が誘ったのがイヤじゃなかった、嬉しかったなら、尚更ため息ばっかりついていた理由がわからない。