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いちご☆恋模様 PART2

第25章 ふたりの、初めて。 その2


風船を手にパッと立ち上がると、ヒカリはサンタの近くで泣いている子供の元へと駆けて行った。
どうやら、風船はもう配り終わってしまったらしい。欲しかったのにもらえず泣いている子供の横で、その母親が困った顔をしていた。

ヒカリは子供に駆け寄ると、しゃがんで視線を同じぐらいにして、風船を渡してやっていた。ちっこいヒカリが、さらにちっこい子供と話している様子がなんだかおかしくて、思わず口元が緩んだ。

しばらくすると、母親には頭を下げられながら、子供には手を振られながら、ヒカリが戻ってきた。


「お待たせしました・・・喜んでくれました、あの子」
「そうか、よかったな」
「・・・私、ちゃんと高校生ですからね」

さっき笑ったのがよほど腹が立ったのか、まだヒカリが俺を睨みながら言う。

「はっ!わかってるよ・・・・・・外、寒いし・・・ほら」
「は、はい!・・・ふふふ」

ヒカリの少し膨らんだ頬と、言っていることがおかしくて、また笑ってから俺は荷物を手に立ち上がった。空いている手を差し出すと、さっきまで怒っていたのが嘘のように、ヒカリは嬉しそうに俺の手を握ってきた。



「・・・そんじゃ、行くか」
「・・・はい」

ヒカリの手を少し強く握り返す。その小さな手は、いつもよりもあたたかかった。
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