第21章 すてっぷあっぷ? その1
「懐かしいな、いちご・・・ははっ」
「や、やだ、もう・・・・・・そんなに見ないで下さい!」
宗介さんに見られていることが恥ずかしくって、私は再びベッドに寝転がると、布団を首元まで引き上げた。
宗介さんが来てくれるってわかってたら、いちご模様の子供っぽいのなんて着なかったのに。もっと可愛いパジャマあったのに・・・
「まあ、いいんじゃねえの?お前らしくて」
「っん・・・・・・」
宗介さんの大きな手が頭を優しく撫でてくれる。風邪をひいているからか、その感触がいつもより心地いい。ずっと撫でていてほしいと思うけど、宗介さんがこんな近くにずっといたら、もっと熱が上がってしまいそうだった。
「そういやお前、昼なんか食ったか?」
「あ、そういえばずっと寝ちゃってたので、まだ何も・・・」
宗介さんの言葉で、部屋の時計に目をやると、もう昼の1時を過ぎてしまっていた。
「つーか、食欲あるか?食えるなら、下行ってなんかとってきてやるぞ」
「あ、えーっと、実は熱のせいでまだあんまり食欲なくて・・・」
お母さんが用意してくれたものって、多分お粥とかだろうか。お母さんには悪いけど、今はまだ食べられそうにない。
「はっ・・・さすがのヒカリでも、風邪の時は食欲なくなるんだな」
「も、もう・・・私のこと何だと思ってるんですか?」
そして相変わらず宗介さんは失礼なことを言う。そんなにいつでもどんな時でも、食いしん坊なわけないじゃない。
「はは、わりぃ・・・まあでも何か腹にいれねえとな・・・あ、そういや俺、途中でプリン買ってきたんだったわ・・・これなら食えそうか?」
宗介さんはコンビニの小さな袋の中からプリンを取り出してくれた。
「わあ、ありがとうございます!食べたいです」
「確かこのプリン、好きだって言ってたよな・・・ほら」
もう一度起き上がって、宗介さんからプリンと付属のスプーンを受け取る。
宗介さんが買ってきてくれただけで嬉しいのに、わざわざ私の好きなプリンを覚えていて、それを選んでくれたのがもっと嬉しかった。
風邪でつらい時に優しくしてもらうのって、なんかいいな・・・
・・・そうだ。普段なら絶対してくれないだろうけど、今だったらお願いきいてくれるかもしれない。