第21章 すてっぷあっぷ? その1
「いや、急いでたみたいだったし・・・ホントに挨拶ぐらいしかしてねえよ、俺は。でも・・・・・・」
「で、でも?!」
宗介さんが何かを思い出している表情になり、思わず布団から少し身を乗り出してしまう。どうしよう、家での私のあんなことやこんなこと暴露されちゃってたら・・・
「・・・・・・はっ!やっぱ似てるな、ヒカリとお袋さん。この前、写真見た時も思ったけどな」
「え?!ど、どこがですか?!」
私の恥ずかしい話はされてないみたいだけど、これはこれですごく気になる。確かに似てるとはよく言われるけど、そんなに笑ってしまうほどなんだろうか。
「まあ、見た目はもちろんだけど・・・雰囲気っつーか、色々と・・・ホント、そっくりだわ。ははっ!」
「ええぇ・・・」
宗介さんは何かを思い出しては一人でしきりに笑っている。
確かに見た目は、お母さんも私と同じぐらいの身長だし、顔も親子だから似てるとして・・・雰囲気?具体的にどういうところが似ていたんだろう?・・・できれば、私もその場に居合わせたかったな。
「・・・・・・ヒカリ、お前さ・・・」
「・・・は、はいっ!」
ぼんやりとそんなことを考えていたら、宗介さんはいつの間にか笑うのをやめて、まじまじと私のことを見つめていた。
・・・・・・そうだ。このシチュエーションって、結構・・・うん・・・アレなんじゃ・・・私、ベッドにいるし、家の中、今、私と宗介さんしかいないし・・・
ど、どうしよう。宗介さんの視線が私の胸元辺りに注がれてる気がする・・・待って・・・待って。だってイヴって決めたのに、それに私風邪ひいてるし、ああでも宗介さんがそうしたいなら、ううん、でもやっぱり・・・・・・
「・・・はっ!パジャマ、いちごなんだな」
「ひゃ、ひゃいっ!・・・へ?・・・あ、ああ・・・は、はい・・・」
思わず間の抜けた声が出てしまった。宗介さんはさっきと同じように、とても楽しそうに笑っている。
・・・もうやだ。穴があったら入りたい。最近ずっとそんなことばっかり考えてたせいだ。
宗介さんは、私が風邪ひいてるのに無理にそんなことする人じゃないのに。そもそも、私がしたくなるまで待つって言ってくれたのに・・・・・・