第21章 すてっぷあっぷ? その1
「ああ・・・江から連絡が来た。用事があってお前の教室行ったら、風邪ひいて休みだって聞いたから、見舞いにでも行ってやれ、ってな」
「そ、そうだったんですか・・・」
「江もお大事に、って言ってたぞ」
「あ、はい。ありがとうございます・・・」
・・・なるほど。江先輩が宗介さんに教えてくれたんだ。だから宗介さんは家まで来てくれたんだ。でも何かまだ大事なことを忘れているような気がする・・・・・・
「・・・あっ!!」
「どうした?またでっかい声出して」
「いえ、宗介さん、どうやってうちに入ってきたんですか?・・・も、もしかして玄関開きっぱなしでしたか?」
お母さんが仕事に行く時に、鍵をかけ忘れたんだろうか。いくらのんびりした地域と言っても、空き巣に入られた、なんて話もたまに聞く。もし私が寝ている間に・・・と思うとぞっとしてしまう。
「いや、最初はヒカリに電話しようと思ったんだけどな・・・家の前まで来たら、お袋さんがちょうど出てくるところだったから・・・」
「お、お母さんに会ったんですか?!」
宗介さんとお母さんが会った?!ど、どうしよう、だってまだ私、彼氏がいるなんて、一言も話したことないのに・・・
「ああ。お前の飯とか準備しに一旦仕事抜けてきたって言ってた。普通に挨拶したら、ゆっくりしてってくれって中に入れてくれた」
「あ、挨拶ってど、どんな風に・・・?」
「はぁ?!・・・いや・・・『ヒカリさんとお付き合いしてます』とか・・・そんな感じだ」
・・・わああ、『ヒカリさん』だって。宗介さんが『ヒカリさん』って・・・・・・
熱がまた上がってきちゃったみたいに身体が熱い。顔も絶対真っ赤になってる。
・・・なんだか宗介さんの顔もちょっと赤いみたい。
「そ、そうですか・・・・・・」
「っ・・・ばか、何赤くなってんだ。普通だろ・・・別に」
「あ、あのっ!それで・・・お母さんは何か変なこと言いませんでした?」
そう。そしてこれが一番心配なことだ。どうしよう、いつもと同じような感じでお母さんが宗介さんに余計なことペラペラ話しちゃってたら・・・