第20章 悩める季節 その3
「えっと、それじゃあ気を取り直して・・・」
「は、はい・・・」
一体何を言われるんだろうと少し身構えてしまう。さっきはキュンキュンしてくれてたけど、天方先生もやっぱり学校の先生だし、まだ高校生なんだからやめておきなさい、とか言うんだろうか。
「・・・山崎くんはとっても優しい子なのね」
「へ?・・・あ・・・は、はいっ!そ、それはもう!!」
だけど先生からの言葉は私の予想とはまったく違うものだった。少し驚いたけど、宗介さんが優しいことは私がよく知ってるから、自信を持って答えた。
「ふふふ、普通それぐらいの歳の男の子だったら、待ってなんてくれないわよ」
「そ、そうなんですか?!!」
「そうよ。高校生ぐらいの男の子なんて、そんなことばっかり考えてるものなんだから」
先生の言葉に私はかなりのショックを受ける。世の中の男子高校生ってそんな・・・そんなエッチなことばっかり考えてるものなの?!
「まあ、みんながみんなそうとは限らないけど・・・」
「そ、そうですよね!」
少しホッとする。だって遙先輩とか真琴先輩とかもそんなことばっかり考えてるなんて、想像もできない・・・
「でも、健全な男子高校生だったら、まったく考えないってことはないわね」
「そ、そうなんですか・・・」
・・・うわあ・・・なんかショックだ・・・男の子ってそうなんだ・・・
・・・でも・・・ということは宗介さん、かなり頑張って私のこと待ってくれてるんじゃ・・・・・・
何回か手出そうとしたけど全部邪魔されて、私も全く気付かなかったって言ってたけど、それもかなりつらかったんじゃ・・・
それなのに、私と変わらずいっしょにいてくれるなんて、それって・・・それって・・・
「・・・長島さん、山崎くんにとっても大事にされてるのね」
心に浮かびかけたことを代わりに天方先生が言ってくれた。
「は、はいっ!!」
・・・そうだ。宗介さん、言ってくれた。『お前のこと大事にしたい』って。ホントにホントに、私のこと大事にしてくれてるんだなあ・・・
今まで曖昧にしかわかってなかったけど、今初めてはっきりと自分が大事にされてることがわかった気がする。