第18章 悩める季節 その1
『25日、お父さんもお母さんも休みとれたから24日から二人で旅行にでも行って来ていい?』
・・・なんて!いい条件揃っちゃった!
・・・どうしよう。元々そうするつもりだったんだけど、いざ条件が揃ってしまうと、なんだかリアルに想像できてしまって、軽くパニックだ。
こんなので今日、宗介さんを誘うことができるだろうか。私、顔に出やすいから宗介さんに、バレてしまうかもしれない。いや、バレていいんだけど、気付いてくれないほうが困るんだけど!でも今からそういうことするんだって思われちゃうのは恥ずかしいというか・・・
「ヒカリちゃん?顔赤いけど、熱でもあるの?大丈夫?」
「だ、大丈夫です!きょ、今日もはりきって練習しましょうね!」
「う、うん・・・」
いけないいけない。江先輩に余計な心配をかけてしまった。とりあえず、今は変なことは考えないようにしよう。宗介さんとのことは、練習の後・・・頑張ってみよう。うん、そうしよう。
「お疲れ様です、長島さん」
「あ、似鳥さん。お疲れ様です!」
「長島さん、うちの部員もいますし、大丈夫ですよ?」
なんとか合同練習が終わって。余計なことを考えないようにと、片付けを率先してやっていたら、私を気遣って似鳥さんが声をかけてくれた。
「いえ!身体を動かしてないと雑念が・・・」
「雑念?」
「い、いえ!う、うちが練習させてもらってるんで、これぐらい当然です!それじゃあ!」
「は、はあ・・・」
ぽかんとした顔の似鳥さんを残して、私はまた片付けを始めた。
そして、手を動かしながら宗介さんの方をちらっと見る。宗介さんは凛さんと話をしていた。
いつもの合同練習だったら、練習中たまに宗介さんと視線が合うのが嬉しくて仕方なかったのに、今日はほとんど宗介さんを見ることができなかった。
それはもちろん、意識してるからなんだけど・・・どうしよう。いつもだったら周りに人がいても宗介さんに話しかけられるのに、今日は絶対にできない。他の人になんて聞かせられないし、宗介さんと二人きりの時じゃなきゃ・・・
二人きり・・・宗介さんと・・・わああ!もうダメだ。爆発しちゃいそう!!