第18章 悩める季節 その1
「はぁ〜〜〜・・・・・・」
あれから宗介さんとおわかれして、私は今自分の部屋にいる。コートも脱がずに、私はベッドにぼふっと身を投げ出した。
・・・まだ身体が熱い。宗介さんがくれた熱が唇だけでなくて、身体全体に残っている。
文化祭の日以来、宗介さんはたまに大人のキスをしてくれるようになった。まだ慣れなくて宗介さんにされるがままだけれど、あのキスをすると、頭が真っ白になって宗介さんのことしか考えられなくなってしまう。触れるだけのキスとは違って、宗介さんのことを強く強く感じる。
最初は呼吸の仕方もわからなくて苦しくて、『死んじゃう』なんて表現して、さっきだって宗介さんにからかうように聞かれてしまった。
・・・『わからない』ってあの時はごまかしたけど、本当は違う。
苦しいのは変わらないけれど、『まだ、もっと』って気持ちが最近は私の中に芽生えてきた。ずっとあの蕩けてしまいそうなキスをしていてほしい、やめないでほしい・・・ううん、それよりももっと・・・・・・
「う〜〜〜・・・」
ここで私の思考はいつも途切れる。私の『まだ、もっと』って気持ちが、宗介さんの言ってた『この続き』に繋がるのかが、私にはよくわからない。
だけど・・・もうカレンダーは12月。あの文化祭の日から2ヶ月近い時間が経っている。いくら子供っぽい私でも、そろそろ宗介さんに応えなければいけないんじゃないか、って気がしてる。
でも、大人のキスの続きがどうしても私には想像できない。さすがにどんなことをするのかぐらいはわかるけど(それも本当になんとなくだけど)、私と宗介さんがそんなことをする、というのが想像できない。今だってキスするだけで恥ずかしくて仕方ないのに・・・全部何もかも宗介さんにさらけ出さないといけないなんて、それこそ本当に心臓が飛び出して死んでしまうかもしれない。
それに・・・そういうお誘いを私の方からしないといけない、というのが私にはものすごくハードルの高いことだ。
曖昧な誘い方をしたら宗介さんは天然だから気付いてくれないかもしれないし、色気のない誘い方をしたら宗介さんがそもそもその気になってくれないかもしれない。
「どうしようぅぅ・・・・・・」
間近に迫った期末テストよりも何よりも、それは今の私にとって深刻な問題だった。