第16章 with you
全部自分の気持ちを言い終えて、私は小さく息を吐き出す。きちんと言えていたはず、多分・・・・・・あれ?でも、私が最後に言ったことって・・・・・・
「あっ!あ、あのっ!さ、最後に言ったことは深い意味はないです!!た、ただ宗介さんと一緒にいたいなって・・・あの!気にしないで下さい!!」
・・・どうして私はこうも決まらないんだろう。うっかり・・・プロポーズみたいなこと言っちゃうし。顔も今は真っ赤だし、慌てふためいて、本当にかっこわるい。こんなのできちんと宗介さんに気持ち、伝わっただろうか・・・
「・・・っは・・・そうか・・・」
宗介さんの口元がほんの少しだけ緩んだ。
「・・・お前の気持ちはよくわかった」
「・・・んっ」
そう言って、宗介さんの大きな手が頭を撫でてくれる。頬の火照りがおさまって、心が落ち着いてくる。
・・・宗介さんを元気にしてあげたかったのに、なんだかんだで私の方が今、宗介さんに安心させてもらっちゃってる。何か・・・もっと何か、してあげられないかなあ・・・・・・そうだ!
「あの!宗介さんはそのまま座っててくださいね」
「は?」
そう言って私はベンチから立ち上がって、座っている宗介さんの正面に立った。
「ヒカリ?いきなりどうした?」
「えっと・・・」
いつもはずっと上にある宗介さんの顔が今は私よりも少し低いぐらいの位置にある。
思い立ったはいいけど、いざやろうとすると恥ずかしさでためらってしまう。でも・・・私も宗介さんを安心させてあげたい。
「し、失礼します・・・・・・」
「っ!・・・・・・」
そっと腕を伸ばして、宗介さんの頭を自分の胸に抱き寄せた。
「あの・・・ぎゅーって、いつも宗介さんが私にしてくれるから・・・今日は私が・・・」
「・・・・・・」
・・・ああ、そういえば私、宗介さんの頭をこんな風にちゃんと触ったことってなかったっけ・・・少し固めの髪の毛の感触とか、なんだかすごくドキドキする・・・
「し、心臓の音とか・・・聞いてるとなんか落ち着いてきませんか?」
「・・・・・・」
宗介さんの腕がそっと私の背中に回ってきた。私もさらに腕に力を込めて宗介さんのことをもっと強くぎゅっとした。