第15章 同じクラス、隣の席
「はっ!お前、そんなでかい声出したら怒られんぞ・・・ははっ!」
「だ、だって今のは宗介さんが・・・」
宗介さんだって私と同じぐらい大きな声で笑ってるのに、本当にいじわるだなあ、なんて思いながら、さっきの宗介さんのイラストをもう一度まじまじと見る。
「・・・宗介さん微妙にへたっぴですね。ふふふ」
「・・・うるせえよ」
その絵は始めこそいちごに見えたけど、なんだかトマトにも見えるような気がして少し笑ってしまった。ぷいと窓の方を向いてしまった宗介さんの服の袖を掴んで、軽く引っ張る。
「宗介さん、宗介さん」
「・・・なんだよ」
「機嫌直して、今度はお話しましょ?」
「はぁ?!お前、さっき話すなって言ったばかりだろ?」
「でも、ほらこうすれば・・・」
ノートを立てて机の前の方へ置く。これで少し背中を屈めれば、先生からは見えない。
「・・・ね?十分お話できますよ?」
「・・・しょうがねえな」
なんて言いながらつき合ってくれる宗介さんが好き。宗介さんは大きいので、ほとんど机にうつぶせで居眠りする時みたいな体勢になって、私の方を向いてくれた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
至近距離で宗介さんと視線が合う。なんかこれ、みんなに内緒でしてるって設定だし、すごくドキドキするかも・・・なんて思っていたら、
「お前、早弁しねえの?」
と拍子抜けしてしまうことを宗介さんが小声で聞いてきた。
「し、しませんよ。私はお昼休みに正々堂々たくさん食べます!」
「・・・はっ。『正々堂々たくさん』ってなんだよ」
・・・どうしよう。普段だってこれぐらいの距離で話してるのに、今の方がなんだかドキドキする。宗介さんの笑顔にドキドキが加速する。
「・・・・・・」
「・・・何か話せよ、ヒカリ」
「へ?え、えーっと・・・す、好き!」
急に何を話していいかわからなくなってしまい、黙ってしまった。だけど、宗介さんが急かしてきて、混乱した私の口からはついつい本音が出てしまっていた。
「・・・はっ!お前、そればっかだな」
「だ、だって・・・本当のことだから・・・」
宗介さんに笑われてしまった。さっきノートにも書いたのに。本当に恥ずかしい。でもそれが私の気持ちなんだから仕方ない。