第15章 同じクラス、隣の席
「俺の教室、ここ」
「し、失礼しまーす・・・」
宗介さんが指し示す教室に、私は恐る恐る入っていった。
「電気つけるとばれるから、このままでいいよな」
「あ、はい・・・なんか、思ったより綺麗なんですね」
男子校の教室、って言うとなんだかもっと乱雑で汚いイメージがあったけれど、宗介さんの教室は意外に整頓されていた。
「まあこんなもんだろ・・・あ、でも夏場はすげえくせえけどな」
「あはは!そうなんですね」
教室で過ごしている宗介さんを想像して、嬉しくなってしまう。私が知らない宗介さんを、もっともっと知りたいな、って思う。
「あ、宗介さんの席、どこなんですか?」
「窓側の一番後ろ」
「なんか居眠りしやすそうな席ですね」
「ああ、快適だぞ・・・特にたらふく昼飯食った後とかな」
「あははは!」
そんなことを話しながら、私達は宗介さんの席まで歩いていった。
ここに宗介さんがいつも座って授業受けてるんだ・・・って、当たり前のことなのに感動してしまう。同時に、同じクラスの人が少し羨ましくなる。ここは男子校だし、そもそも学年が違うし、私はどうやったって宗介さんと同じクラスにはなれない。
・・・・・・ああ、そうだ!
「宗介さん!自分の席、座ってもらえませんか?」
「は?今か?」
「はい、今です!お願いします!」
「・・・お、おお」
わけがわからないと言った顔だけど、宗介さんは自分の席に座ってくれた。身体の大きい宗介さんが座ると、机がなんだか小さく見えて可愛かった。
「どなたか知りませんが、ちょっとお借りしまーす」
私も一言断って、宗介さんの隣の席に座った。
「・・・ヒカリ?お前、何やってんだ?」
「ふふ、これで私、宗介さんと同じクラスでしかも隣の席です!」
・・・そう。今なら誰もいないんだから、そういう設定にしちゃえばいいいんだ。宗介さんとのいつもとは違う距離感になんだかドキドキするし、すごく楽しい。
「・・・いや、お前女だし・・・そもそも学年違うし無理だろ」
・・・どうしてここで真面目につっこむかなあ。それ、さっきもうすでに私が考えたことだし。宗介さんってたまに・・・ううん、結構頻繁に天然だと思う。