第15章 同じクラス、隣の席
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そこには私と宗介さんだけが残された。ちらっと見上げると宗介さんと目が合った。
「あ、あの・・・宗介さんの気持ち、全然気付かなくってすいませんでした・・・」
「別に・・・お前が鈍いの知ってるし・・・」
「えぇ?!ひ、ひどい!私だって最近は・・・ふわっ!」
抗議の声をあげようとしたけど、宗介さんの大きな手が私の頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜる。
「あー、わかったわかった・・・・・・ほら行くぞ」
「も、もう・・・・・・はい・・・」
またうまくごまかされちゃったなあ、なんて思ったけど、差し出された手が嬉しくて、私はその手をぎゅっと握った。
「あ・・・」
「どうした?」
そのまま少し歩いて、校舎のところでふと私は足を止めた。
「えっと、宗介さんの学校の中、もう少し見たかったなーって。この前、あまり見れなかったので」
「ああ・・・」
「宗介さんの教室とか、行きたかったなーって・・・あ・・・」
「・・・・・・」
宗介さんが黙ってしまって、ハッとなった。この言い方だとまるで文化祭の時のことを責めてるみたいにもとれる。そんなつもりは全然なかったから、慌てて取り繕おうとする。
「あ、あはは!でも仕方ないですよね。さ、早く帰りましょ・・・」
「・・・行ってみるか?」
「へ?」
「行くか?俺の教室」
宗介さんからの思ってもみない提案に、なんだか間の抜けた声が出てしまった。
「いえ、でも・・・」
「この時間なら残ってんの、教師ぐらいだろ・・・ほら、早くしろ」
「え?ちょ、ちょっと宗介さん?!」
ぐいと宗介さんが私の手を引っ張って、されるがままに私は校舎の中に入った。
「なんかちょっとドキドキしますね!」
もう薄暗い校舎の中を、廊下を歩いて、階段を上って。最初は心配な気持ちのほうが強かったけど、段々なんだか楽しくなってきてしまった。
「声、でけえよ。見つかったらどうすんだ」
「ご、ごめんなさい・・・」
嬉しい気持ちのままに少し大きな声を出したら、宗介さんに注意されてしまった。だけど、それでもドキドキは止まらなくって、宗介さんの手を強くぎゅっと握った。