第3章 「耳弱いんだな」
「龍也さんって女性に
興味ない完全なゲイじゃなかったんですね」
「俺?あートラウマで女抱けない体
になってたから
ある意味性同一性障害みたいになってた!」
「それな!吉村もなんだよ!」
右京が驚き固まる
「雪音さんもなんですか?」
「ああ!1回俺と試したんだが
無理でな?」
龍也は俺の言葉に眉を寄せ動揺する
「あ?んな事あったのかよ?」
「胸触って舐めたくらいだ
最後まではやってねーよ
お前に殺されたくはないからな!」
「まぁそれも時効だからいいけどよ!」
不敵に笑いながら言う龍也
「んで十数年経つからな
どんだけのこじらせカップルなんだって
話だ」
「雅也!でもな正直、踏み出せない
俺もいるんだよ」
「………まぁわかるけどな
いつ危険な目にあうかわからないからだろ?
前みたいにな!」
「ああ…次あんな事があれば
俺は狂うな…間違いなく!」
新しいカクテルを作りながら
話す
「それ!」
「ああ!ハイライクだ!」
「かなりキツイのいきますね!」
入れてるのを見ながら
話す3人
ちょうど龍也が作り終わり
テーブルに置いた時に
吉村が戻って来る
「冷シボ投げてくんない?」
インカムで話し
冷やしたおしぼりを受けとり
吉村に渡す龍也
「ありがと!」
「雪音!目ぇ冷やしとけ
あと新しいの作っといた」
吉村が気づかれ驚いてた
が俺より吉村が
トイレで泣いてた事を先に気付いた
龍也が先手を取る
「それも美味しそうだね」
カクテルを見ながら言う
「雪音!ちゃんと話してぇんだよ!
また泣かしちまうとは思うんだが」
「うん!…」
龍也の言葉に吉村がうなづき
言う
「もう逃げるのやめる…」
「けじめをつけるために
買ってきた」
龍也が焼きそばパンと
カレーパンとメロンパンを
出す
「懐かしいな!…」
「あれ以来食ってないだろ?」
「うん…グスッ…ふぇっ」
不意に吉村がおしぼりを
目に当てながら泣きだす
「ごめんな?
あん時お前に背負わすつもりじゃなかった
あれしかお前を助ける方法
なかったんだ
ガキだったから一人で突っ走った
結果がこれだ!
女はお前しか抱けなくて
しかもお前に逃げられ続けて数十年だ!」
「え?だっだ抱き?」
「俺をいつもお前のそばに
居させてくんねーか?
俺はお前にふさわしい男になりてぇ!」
「うん…うん」
