第3章 「耳弱いんだな」
「龍………也?」
「ああ!」
完全に理解したのか
顔を赤くして
すぐに距離を置き
立ちあがる吉村
「ひああ!ととっ」
「トトロ?」
焦りすぎて言葉に出来てない
吉村をからかうように
笑って相手する
「ちっ違…とっトイっ」
「トイプードル?」
「違う…トイレ行ってきます」
「どうぞ!」
道を譲り
「大丈夫か?」
「大丈夫れふ!」
フラフラしながら
トイレに向かう吉村の後ろ姿を
見ながらクスクス笑い
バーカウンターに戻る龍也
「おい!こじらせカップル!
見ててイライラするから
早くくっつけよ!」
ワインを飲みながら
龍也を睨みながら言う
俺にそうだなって返事が返ってくる
「回りくどい事するよな!
お前も!何がそんなに強くねーから
飲みやすいだ!」
「ありゃ気付いちゃった?
いたずらっ子のように
舌を見せながら言う龍也に
答える
「ああ!あいつの態度みればわかるさ!」
「雪音のヤツ酒でも入れて
身動きとれないようにしねーと
逃げるからな!」
「そうなのか?」
「ああ!俺からの連絡は
全部無視で会社の近くで
たまたま会えばストーカーだの
警察に言うだの言うからだな!」
「そうなんですか?」
今まで俺らの会話を
見守っていた右京が話す
「ああ!だからアイツが
ここに来たら
一気に勝負してやるって思ってたからな!
逃がしてやる気はねーよ」
黒い微笑みを浮かべて言う龍也
「怖いねー黒龍くろりゅう様は!」
「その名前出さないでもらえる?
もう抜けるからな」
「そうなのか?じゃあ家の事も
うまくいきそうなのか?」
「ああ!だから雪音の事も
いい頃合かなってさ!」
「そういうことか!」
右京が疑問に思ってた事を
龍也に聞く