第3章 「耳弱いんだな」
「あー?誰が好きで
誰に抱いて欲しいって?」
帰ってきて俺が座ってる反対側から
龍也が吉村に声をかけるが
俺が言ったと勘違いしたのか
座ってる向きを変えて
下を向き龍也の腰に抱きついた
「雅也?本人がいないからって
何回も言わせないでよ」
「俺は雅也じゃねーよ
雅也は後ろだ上見てみろ!
雪音」
「上?」
龍也の言葉に
キョトンとしていた吉村が
視線を上に向ける
「えっと…メガネない…」
酔っ払ってて思ってる事が
口に出てるぞ吉村
なんか面白そうな展開になったな
ふと龍也が舌を出し様子を見る
「舌に…ピアス…?」
「な?俺は雅也じゃねーだろ?
雪音?」
「その呼び方…は…!!!」
吉村は気付いたのか
龍也の顔の至近距離で
瞬きを繰り返す