第16章 衝突
「ここまで、予想通りだとかえって怖いですね。」
「ふん、これも彼奴の働きだ。」
大名からの毒物を全く口にしなかった織田軍は、それでも最初は顕如の手勢に苦戦したが、政宗たちの合流で形成を逆転した。
「どういうことだ?!」
捕えた顕如が、声を張り上げる。
「お前たちの動きは、すべて把握していたということだ。」
「何?」
「お前が信玄と組んでいることも把握済みだ。お前たちの思惑は全て我が手中あったというわけだ。」
「くっ・・・殺せ!!」
「殺さん。貴様は安土の牢でこの俺が天下を取るところを指を咥えて見ていろ。」
不敵に笑う信長を顕如は睨みつける。
「しかし、こうもあっさりだと些かつまらねえな。」
「仕方ありませんね。この後の上杉武田との遣り合いに期待しましょう。」
「そうはならんがな。」
「「「え?」」」
「お屋形様、まだ何か企みが?」
「行けばわかる。顕如たちは安土へ連れていけ。」
その言葉に、部隊が動いた。
「さて、最終戦だ。戦線に向かう。」
信長の一言に、織田軍は隊列を組んだ。