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意のままに

第15章 思惑~3~





薬を渡された三つ者は暫し思案ののち、別のものを通して、信玄に届けさせた。

「信玄様。」
「ん?どうかしたか?」
「いえ、実は・・・安土の城下で手に入れたのですが、何でも、肺に効くらしいのです。」
なつの拉致に関わったものから、その薬が差し出される。
「勿論、害あるものではありません。薬師が目の前で舐めて見せましたから。」
「ほう・・・まあ、気休めにはなるかもな。」
言いながら、信玄は用意された白湯とともに飲み込んだ。
「効果は四半刻ほどで現れるそうです。」
「わかった。ありがとな。」
そう言って、信玄は笑みを浮かべた。



食事を運んできた先ほどの三つ者になつが問いかける。
「で?どうでした?」
クスクス笑うなつには結果が見えていたようだ。
「確かに、軽くはなったようだ。」
「ふふ、知りたくはないか?」
「・・・逃がすことは出来ん。」
「ふふ、違うよ。私がやりたいのは・・・コレ。」
言いながら、薄い水色の懐紙を出す。
「中身は睡眠薬よ。」
「?!」
「それをね、後ろへ回る部隊に飲ませてほしいの。」
「それは!!」
「誰にも言いはしないわ。1刻ほど寝ていてもらえれば、それでいいの。」
「毒でない保証はない。」
「ふふ、睡眠薬よ。だって貴方たちを殺しても私には利がないもの。」
「しかし・・・1刻も眠らせてどうするつもりだ?」
「その間に決着を着けるわ。やってくれたら、あの薬の作り方、教えてあげる。ああ、取り敢えず、はい。今、持っているのはこれで全部。朝と夕餉の後に飲むことをお勧めするわ。」
そう言って、7包みを差し出す。
「私のお願い、聞いてくれたら、勿論、作り方を教えるわ。よく考えてね。」

クスクス笑いながら、三つ者が出て行くのを見送った。


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