第5章 破滅【帰】
アイSide
夜
「アイ様、ロヴォフ様からこれを…」
『ありがとう』
お風呂から出た私が仕様人から受け取ったのは、あの男が私を抱く為に選んだ服
仕方なく身に纏ったロイヤルブルーのマーメイドドレスは、大胆にも太ももまで長く伸びたスリットが入っている
他にも背中が大きく開いていたり、胸元がちょっと見えすぎではないか?と、あの男の趣味について思うところはあるけれど…
今日私はこの服を着たまま、馬に跨り帰らなければならないと思うと憂鬱で仕方ない
はぁ…
心の中で、もう何度目かも分からない大きな溜め息をつく
「アイ様、お召し変えの方は終わられましたでしょうか?」
「は、はい終わりました」
コンコン、と数回のノックの後に聞こえた仕様人へドア越しにそう答える
「これはこれは、良くお似合いですよ。ロヴォフ様もさぞお喜びになられるでしょう」
もう聞き飽きたそのセリフを受け流しながら私はされるがままに、次は髪を編まれていく
そして、初めて見るヒールの高い靴を履かされ
最後にダイヤのイヤリングとネックレス
「とても、お美しいですよアイ様」
こうして私は今まで以上に高価な飾りを施された後、やっと解放された
はぁ…
早く帰りたい