第3章 暴かれた○○
「おはようございます」
私が朝、廊下を歩いていると先生が何食わぬ顔で挨拶をしてきた。
「…おはようございます」
背中にささる視線が痛くて後ろを振り返ると女子たちが話しかけられた私を穴を開けてやるという目で見ていた。
私は早く立ち去ろうとすると先生が通り過ぎる瞬間に耳元でぼそっと何かをつぶやいた。
こくりと頷き、私は廊下を駆け足で走っていった。
教室に入ると私の机の上で眠る摩耶子がいた。
他の生徒たちはそれぞれの話に華を咲かせており、私の方には見向きもしなかったが、あるグループの女子たちだけ私の方を見た。
「あら、おはよう。霧島さん」
ー西嶋さん、誰よりも巻いたんだろうな、あの髪の毛…
西嶋華乃。地毛の色だとずっと訴え続けている明らかに染めている色の髪はジェットコースターのレールのようにくっきりはっきり巻かれている。その華乃の取り巻き達も派手なメイクと派手な髪飾りをしており、私と摩耶子で密かに現代のマリー・アントワネットたちと呼んでいる。
私は苦笑いを浮かべて挨拶をしてそそくさと摩耶子の元へと行こうとする。今日はなんだか朝からツいてない。
すると手首を華乃に掴まれた。
「あなた、とても綾瀬先生と仲が良いではありませんの?」
「そ、そうかしら?私はそんなつもりはないのだけれど?」