第3章 暴かれた○○
華乃の口調につられてお嬢様口調になってしまう。
「玲香、玲香〜、綾瀬せんせが呼んでる〜」
摩耶子が教室の入り口を指差すとにこりと微笑みを浮かべた先生がくいくいっと手招きをして私を見ていた。
この最悪のタイミングでよくもあいつは私を呼ぼうと思ったものだ。
華乃と取り巻き達、他の生徒が鋭い目つきで私を見つめるのに、摩耶子はそんなことも知らないという顔で玲香、行かないの〜?と言ってくる。
「霧島さん、はやく」
さらに追い討ちをかけるように先生は私を呼ぶ。
「じ、じゃあ失礼します…」
ゆっくりと華乃の手を離して私はそろそろと離れて先生の方へと歩いていく。
「あんまり必要以上に呼ばないでくれませんか、先生はとても人気なので」
私は皮肉っぽくそう言ってやった。先生は呆れたような顔で肩をすくめると歩き出す。
「昨日、小テストを行いましたよね」
「ああ…ありましたね」
先生の後ろをついていくといつのまにか職員室につき、先生はそこで待ってるようにと言うと右手に私の小テストの答案、左手にプリントの束を持って戻ってきた。
霧島玲香と書かれた名前の横には摩耶子がわざと丸文字で書いた5点が上から消されて横に荒々しいが整った字で3と書き直されていた。
「20点中3点。ちなみに10点以下はあなたのみです」
私に小テストを渡し、次にプリントの束をパラパラとめくる。そしてそれも私に渡すと黒い笑みで私の肩を掴み、こう言った。
「放課後、補習にきてくださいね」