第3章 暴かれた○○
私は教室の窓際で立っていた。なんとなく今は先生に近付きたくない、本能がそう言っている。
先生は胸ポケットからスマホを取り出すと私に画面を突き出してきた。
「これ、あなたですよね?」
「あ…」
全身の血が一気に沸騰してきた。
見られた。見られていた。
昨日の私が中年のオヤジの腕を抱くようにしてひっついて歩いている姿が先生のスマホの画面に表示されている。
作り笑いの私と気持ち悪い微笑みをたたえたオヤジ。
頭に血が上ってきてなにも考えられなくなってきた。恥ずかしさと苛立ちと色々な感情が一点に集中しすぎている。
先生は画面をフリックするとラブホに向かう私とオヤジの写真が表示されてしまった。
もうダメだ。せっかくこの学院に入ったのに全部パァになってしまった。
私はもう本当に体しかないただの肉人形になってしまった。
ふらりふらりと足がもつれて私は目の前にあった机に手をついた。
目を見開いて過呼吸する私の姿を見ないで…
「落ち着いてください、私はまだこの写真を校長先生にお見せしておりません」
耳元で先生の声が聞こえる。いつもより熱を含んだようなやらしい響きに私の体は反応する。