第3章 暴かれた○○
「霧島さん、少しお時間をいただけますか?」
私は3限目の数学の授業が終わるやいなや綾瀬先生に呼び出された。
「なにかしたの?」
のんびりした声で摩耶子が私のスカートを引っ張りながら問う。
心あたりがない訳ではないが、あるのかと言われればない。面倒だから一言で言うと、
「…分かんない」
ふぅんと飴を舐めながら言うと摩耶子は私のスカートから手を離した。
「何ですか、先生」
教壇の方に近づいた私を見て綾瀬先生はにこりと相変わらずな優しい笑みを浮かべた。
だが私にはその笑みに心地悪い違和感を覚えていた。
「あまり人に聞かれたくない内容ですので、こちらにいらっしゃい」
綾瀬先生はそう言うと教室を出て右に曲がりずっと奥へと歩いて行く。いくつもの黒いカーテンがなされた教室を通り過ぎて、先生は急に立ち止まると鍵を使ってドアを開けた。
私はその教室に入ると先生は鍵を内側から閉めた。