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そんな目で、見ないで

第2章 見つけないで○○


「はい、霧島です」

霧島
私は心の中で繰り返し呟いた。綺麗な正統派な感じの顔つきに私は目をそらせなかった。
ただそのぽっかり空いた瞳に痩せた細い体を私は抱きしめたくなった。

「せんせ、次、わたしらのクラスで授業だよね〜〜」

相川さんの一言で、もう授業開始までに時間がないことを思い出した。
私はではまた、と一言交わして急ぎ足で職員室に降りていった。
職員室のドアを開けて、デスクへと向かい端に置いてある菫組用のプリントの束を抱えて走り出した。
このままではチャイムがなってしまう。
職員室を出て左に曲がり、階段を駆け足であがる。最後の段を踏もうとした瞬間にチャイムが鳴り出した。
階段を登りきってすぐ見える教室の扉を開けた。
するとめいめいに喋っている生徒たちが私を見てぴたりと止んだ。
私は教室を教壇から見下ろすとずっと窓の景色を見ている霧島さんを見かけた。
物憂げに細められた瞳に興味なさそうに頬杖をつき、きっと何も考えずに窓の外を見ているるだろう。
一方の相川さんは机にべちゃりとスライムのように体をつけて今にも寝てしまいそうだ。やはりそういうところは今も昔も変わっていない。

「挨拶は結構ですので、姿勢を正してください」

そう私が言うと相川さんはのっそりと体を起こして机に肘をついた。
私は白のチョークを持って数式を書いていく。
他の生徒は一心不乱に私の授業を聞き、ノートをとっているが霧島さんだけはどこか上の空でノートはとっているが私の授業を受けている感じではなかった。
時々、下を見つめると眉間にシワを寄せて、そしてまた窓の外を見る。
私には霧島さんが何かから逃げたがっているように見えてならなかった。
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