第2章 見つけないで○○
用事があると言い、質問を切り上げると私は辺りを見渡した。
あの声は
「あ、せんせ、久しぶり〜〜」
「相川さんでしたか、お久しぶりです」
私は3年前と変わらない姿の相川さんを見てほっとした。変わらない茶色の少し天然パーマ気味の髪にいつもどこかとろんとした目元、ふわふわしたわたがしのような雰囲気に合わないメリハリの効いたスタイルはまさしく3年前のままだ。
横にいるクールな雰囲気の生徒は眠たげにあくびをするとぺこりと頭を下げた。美しい黒髪がさらりと流れた。
相川さんはポケットからキャラメルを出すと私に突き出してきた。
私はそれを受け取るとくすくすと笑う。
「甘いものが好きなのは変わらないんですね、3年前にもよく私にくれていました」
ふとほころんだ口元につられて相川さんもいつもはあまり変わらなかった表情がほころぶ。
「あなたは相川さんのご友人ですか?」
まっすぐと私を見つめる生徒に私は話しかけた。目を合わせると心の底まで見透かされているような気分がして私は後ずさりたくなった。値踏みをするかのような目付きで私を見るとほんのりピンクの唇が開かれた。