第2章 見つけないで○○
真ん中にある赤い絨毯の敷かれた階段、右の深緑の絨毯の敷かれた階段、左の青色の絨毯が敷かれた階段はそれぞれのクラスへと続く階段だ。
百合には総勢150人の優秀なお嬢様が集まるわけだが、さらにそこでもランク分けされており、赤い絨毯を踏めるのは50人の成績優秀で容姿の美しいお嬢様たちだ。そこのクラスは椿組と呼ばれており、可愛らしい容姿によく回る頭と風紀委員でもある瑛美は椿組だ。
次に賢くて容姿の良いお嬢様が集まるのが青い絨毯を踏める、菫組だ。ちなみに私は菫組である。
そして残り物のお嬢様たちは若草組の緑色の絨毯の階段のみ使用を許されている。
完全成績主義、そして見た目の美しさも大事とする聖マリアンヌ女学院は軽くサバイバルだ。
私は靴箱に靴をいれ、上履きを履く。
「あっ、おはよー、冷蔵庫さん」
横から声が聞こえ、私は横を向く。すると赤いメガネに少し着崩された制服が目立つ私の中での頭のおかしい人ランキング1位の女子生徒が棒付きキャンディを咥えていた。
「おはよう、摩耶子(まやこ)」
相川摩耶子だ。摩耶子の父は相川健という有名な大御所俳優で、母は海外でモデルをしている。5歳上の姉も母の後を追いかけてモデルの修行をしているという。その恵まれたDNAを一身に受けた摩耶子のスタイルは私から見ても抜群に良い。
例えば、いま、摩耶子はかがんで靴を靴箱に入れているがすらりとした足が短い丈のスカートから二本のぞいている。
摩耶子はキャンディを口から離すと私の口にねじ込んできた。