第1章 Look at the skies
「お帰り!しょーちゃん!」
やっぱり予想通りに、ヤツはいて
ニコニコと玄関まで出迎えてくれた
「ただいま。
今日、何してたんだよ?」
靴を脱いで、
リビングに戻る途中
朝に見たスウェットのまま、
欠伸をしてるヤツに笑いながら声を掛けた
「今日はね、とりあえず4度寝までしてぇ」
「ナンだよ、それ(笑)」
「…テレビ見て」
「うん?」
ドアが開いたままのリビングに足を踏み入れると
思わず、吹き出してしまった
「やっぱりさ…
何にもしないって、悪いなぁと思って…」
「イヤ…ホント
別にいいけどね?」
溜めてた洗濯物をしてくれんのは、助かるけどさ……
さすがにベランダだけじゃ、スペース足りないからって
リビングに所狭しと干してくれてる
「あんなにたまってんだもん。俺、ビックリしたよ?」
「ハハ…いつも、クリーニングに纏めて出すからさ」
「え!そうなの?
パンツも!?」
「それ聞く?笑」
「まぁでも、助かったわ。ありがとな」
「うん。でもさぁ?
しょーちゃんて、カッコイーのに彼女いないの?
洗濯物とかしてくれる子」
キョトンとした、
澄んだ瞳を向けてくるけど
この部屋いたらわかんだろ。女っ気がないくらい
「あ!いたら、
男となんかヤんないよね」
そうだそうだ、と無邪気に笑って……
俺に、"ね? "と相槌を求める
「そうだな(笑)」
ただの性欲処理でもないし
お前が女ならヤってなかっただろうね
親に対する密かな裏切りと
どうせ、自由になれないならと、
僅かな抵抗
これくらいいいだろ
都合イイコトに
コイツは、いいかげんで軽いし
単純でバカだけど、
悪いヤツでもなさそうだ
メシ食わせて、
しばらく利用させて貰ったら
追い出せばいい
「メシ、何か食いたいものあるか?」
スーツを脱ぎながら、
ソファーに胡座をかいたヤツに、
笑顔で聞いてやる
んー、としばらく考えたヤツは
満面の笑みで声を上げた
「肉!
しょーちゃん!俺、肉食いたい!」
ほらね
超単純じゃん