第10章 運命の日まで #オマケ
「よし。今日こそは!」
天気予報もチェックした
突然雨が降ることも無さそうだ
ドラマチックな再会を果たすのは、やはり昨日じゃなく今日だった
昼間見た虹が、幸せの予兆だ
今だって月と一緒に星が見える
すっかり乾いた道路にしゃがみ込み
その瞬間を待つ
どんな顔するかな……
笑ってくれるだろうか
イヤ、泣き虫のアイツの事だから、俺見た瞬間泣くかもな
想像するだけで、冷えた身体が暖まる
行き交う人を目で追いながら
ただ、待ち続ける
残業かな……少し前に見た雑誌で、
父親と並んで写るアイツを見た
父親とも上手くいってるように見えてホッとした
……あのスーツ姿
別人みたいに見えて、新鮮だった
雰囲気も少し、変わって見えたし…
「ちょっと…キミ」
「は?」
「不審な男がニヤニヤしながら
道端に座り込んでると通報があったんだが、来て貰えるかな」
「え、ちょ!
俺はただ!」
マサキが来たらどうする!?
こんなことしてる場合じゃないんだって!
今日は!運命の再会の日なんだからな!
結局、その日は取調べのせいで
マサキに会うことに失敗した。
そして次の日も
待っていたけどマサキは現れず
つい道端でうたた寝したせいで、危うくゲイに拉致されそうになったし
今日こそは!今日会えなかったら
アパートで待ち伏せしてやる。
(マサキが未だに住んでいることは調査済み)
「まじ……さびぃ……」
首を竦め、鼻を啜りながら、ただ待つしかなくて
来る。必ず。
決まってんだよ…アイツともう一度出会うことは…
じゃなきゃ、なんの為にマサキを忘れたフリをする事を選んだと思ってんだ
会いたい
アイツに触れたい
「あ…」
どくん、と大きく跳ねた心臓は早鐘を打ち、
視界に飛び込んだ待ち人が、
スローモーションで近づいてくる
颯爽と歩く出で立ち
スーツ姿を際立たせる長い手足
サラサラの黒髪
整った横顔
雑誌で見たはずなのに
実際間近にすると、妙に緊張して、声が上擦る
なんで緊張すんだよ
この瞬間の為に頑張って来たんだろ!
「おにーさん、
ね~?今帰るとこ?
俺も一緒に連れて帰ってくんない?」