第6章 終わりの足音
からかうような眼でソファーに座ると
その視線は外さないまま、促すように首を傾げた
“やっぱ無理なんでしょ”
“だったら帰んなよ”って、そう言われるのは目に見えてる
試されてるんだ
諦めさせる為にやってるんだって…
優しい嘘で、自分を悪者にしてまで
こうやって、このひとは
ひとりでいることを選んで
誰もを引き離してる気がした
どうしたら、……受け入れて貰えるのか
それはもう…答えはひとつしかなくって…
キャミソールにスカートだけの自分を見降ろし
スカートのホックを外すとファスナーを下げた
そのままそれを床に落とし、肩紐に指を掛ける
覚悟してるはずなのに、指先が震えてて
ちらりと覗いたマサキさんは、
黙って私を見たままで……体温はどんどん上昇してく
「ちゃんてさ、処女だよね?
俺、優しくとか無理だよー」
くすくす笑って、放たれるセリフは残酷なのに
返ってそれが切ない
マサキさんの痛みが伝わる
キャミソールを抜き取り、背中に腕を回した
「…はじめてです。
でも、……平気です」
ブラを外して反射的に胸を隠すと
「なんで隠すの?
そんなんで恥ずかしがってたらダメじゃん。
今からもーっと恥ずかしいコトするんだよ?」
口数がわざと増えるのも
私が脱ぐなんて思ってなかったから焦ってるんだ
マサキさんを見つめて
最後に残ったショーツに手を伸ばした
黒い瞳が、戸惑うようにゆらゆら揺れてる
絶対、視線を逸らしちゃいけないって唇をぎゅっと結んだ、次の瞬間
掴まれた腕に痛みを感じて、
マサキさんの息が首筋に掛かった
手首を強く握られたまま、膝の上に乗せられた身体は密着していて
空いたもう片方の掌が肌を撫で、ますます熱を帯びる
「ぁ…ッ」
拘束された手首の痛みに相まって、首筋に走った痛みは
マサキさんが痕を付けたんだってわかる
ちっとも優しくない乱暴な触れ方
腰から流れるように上へと伸びた手は、私の胸に触れた
「…ッ!」
「もっといい声出してよ。全然盛り上がんない。
ホラ」
からかうように指先で触れられた先端は
もうしっかりと反応していて
未経験なのに
マサキさんの膝を跨いだ自分の身体の違和感を感じてる