第4章 ありふれた日常
「知ってるんですか!?
ホントに?」
「いや…人違いかも知れないんだけど。
マサキだろ?
茶髪でスラッとした細身の…
そう。この似顔絵通りのピアスしてるし」
私の書いたイラストをじっと見ながら、
その人は笑顔を見せた
「たぶん、ウチの店にいるマサキだよ。
会いに来てみる?」
「行きます、私っ」
即答すると、笑われちゃって
恥ずかしくなったけど、
リストに挙げたお店もあと僅かだったから、
心細くなった気持ちが、一気に満たされる
すごく気さくな感じのその人は
ホスト特有の、馴れ馴れしさもなくて
私はすっかり気を抜いて、
初めて会ったばかりのその人に
持ち合わせてたはずの警戒心も忘れて、着いて行ってしまった
冷静に考えてみればわかる話なのに、
そんな見え透いた罠にさえ気付けないほど、私はただ、
マサキさんに会いたいって、それだけしか頭になかった