第6章 体育祭
『あ、切島くん!』
早く観客席に向かおう、そう思って小走りにに通路をかけていると、目の前によく見る赤い髪を見かけたから声をかける。すると彼は少し驚いたように目を丸くする。
切「甘風!あれ?もう観客席にいたんじゃ…」
『ちょっといろいろあって…それより、通過おめでと!』
切「ありがとな。お前の応援のおかげだわ!」
ニカッと笑う彼に、一瞬何のことだったかと考える。そしてすぐに思い出した。あのチアの…!自分からやったこととはいえ、とても恥ずかしい記憶を引きずり出されたことに羞恥を隠せないでいた。
『もうあれは忘れてよ…!き、切島くんはこれから観客席に戻るとこ?』
切「おう。甘風もだろ?一緒に行こうぜ」
そうして2人で観客席に向かう。このまま勝ち続ければだけど、切島くんと戦えるのは準決勝になる。
観客席に到着すると、もうすでに次の試合が始まっていた。次の試合は…轟くんと緑谷くんだ。
切「ゲッ!始まってんじゃん」
『轟くん…』
私はさっきのエンデヴァーさんとのことや、控え室での轟くんとのことを思い出して、ぼうっと轟くんを見つめてしまう。彼はずっと氷を使って戦っている…そんな彼を見て…胸が痛くなった。
切「?甘風…?」
上「切島2回戦進出やったな!」
切「お、おうよ!次おめ~とだ爆豪、よろしく!」
爆「ぶっ殺す」
3人の会話にハッと現実に戻される。そっか、次は切島くんは爆豪くんと戦うのか。もうあと2試合後には2人の試合が始まる。
トーナメントだから当然空き時間はどんどん少なくなる。
ハイブリッドに、なおかつ全力で戦っていかないと。
切「ハハッやってみな!とか言っておめ~も轟も強烈な範囲攻撃ポンポン出してくるからな~バーッつって」
瀬「しかもタイムラグなしでな」
爆「ポンポンじゃね~よナメんな。筋肉酷使すりゃ筋繊維が切れるし走り続けりゃ息切れる」
そうやって会話してる間にも試合は進む。
『緑谷くん、もう指が…』