第6章 体育祭
爆豪くんがはちまきをB組の子にとられてしまった。爆豪くんも私たちも緑谷くんのことばかり気にかけていたから油断してしまったのだ。悔しさに眉を顰めていると、相手の男の子が口を開く。
「ミッドナイトが第一種目と言った時点で予選段階から極端に数を減らすとは考えにくいと思わない?おおよその目安を40位以内と仮定しその順位以下にならないよう走って後方からライバルになる者たちの個性や性格を観察させてもらった」
爆「クラスぐるみか…」
「まあ全員の総意ってわけじゃないけどいい案だろ?人参ぶら下げた馬みたいに仮初めの頂点を狙うよりさ」
奪ったはちまきを首にかけながら淡々と語る彼にはずいぶんな余裕を感じる。それにしてもすっごい爆豪くん煽るなあこの人…なんて呑気に考えている場合じゃないのだけれど、私の上にいる爆豪くんの顔や殺気が凄くてそれ以上はやめときなよ、っていう気持ちでB組の子を見つめてしまう。
「あ、あとついでに君有名人だよね?ヘドロ事件の被害者。今度参考に聞かせてよ。年に一度ヴィランに襲われる気持ちってのをさ」
爆「甘風ぇ切島ぁ…予定変更だ」
うわ、怖い顔。
爆「デクの前にこいつら全員殺そう」
もう目の前の敵を狩り尽くすという意思がとんでもないくらい伝わってくる。プライド高い彼には耐えられなかったのだとわかるけど、それにしたって
『煽りの耐性ひくい!!』
切「爆豪落ち着け!冷静になんねぇとポイント取り返せねぇぞ!」
爆「…進め切島。俺は今すこぶる冷静だ!」
『私の援護いる?』
爆「ぶちのめせ」
答えがほしかったものと違う!いるかいらないかなのに!
爆「死ねえええええ!」
爆豪くんが攻撃をしかける。
が
BOOOMB!!
爆「は?」
なんと相手も爆破で返してきた。
切「爆豪オメーもダダ被りか!」
ダダ被りどころの話じゃない、これは…まったく同じだ。これにはさすがの爆豪くんも反応に遅れてしまった。
爆「くそが!」
爆豪くんがたまらず攻撃をするも、今度は彼は切島くんのような力で硬化し、防いでしまった。
切「んああ俺の!?また被っ…」
爆「違え。こいつコピーしやがった」